「プラ新法というのがあるらしいけど自分の会社では守れているのか心配…」
「そもそもプラ新法ってなんで出来たんだろう」
「業種ごとに義務が分かれているらしいけど、よく分からない」
今回はそんな声にお応えし、
プラ新法の内容を業種別に法律の内容・対応の必要性に焦点を当ててわかりやすく説明していきます。
01. プラ新法の正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」
プラ新法とは、2021年6月11日に制定され、2022年4月1日から施行となった法律です。
正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」といい、プラスチック資源循環促進法、プラ新法と略されています。
これまで容器包装リサイクル法によってプラスチック容器や包装についてのリサイクルが促進されてきましたが、
海洋プラスチックごみ問題、気候変動、諸外国の廃棄物輸入に対する規制強化などの問題を受け、
プラスチックを使用した製品についても新たにリサイクルの枠組みを示す内容になっています。
02. プラ新法ができた主な背景は、ゴミ問題と気候変動
プラ新法ができた背景として、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制の強化、日本の廃プラスチック有効利用率の低さが挙げられます。それぞれについて簡単に解説します。
毎年800万トン増え続ける海洋プラスチックゴミ問題
現在1億5,000万トン以上(少なくともジェット機約5万機分の重さ)のプラスチックごみが世界の海にすでに存在していると推定され、毎年800万トンのプラスチックごみが新たに海へ放出されています。
このまま海洋プラスチックが放出されつづければ、2050年には「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚の重さを上回る」という想定です。
プラスチックごみが海洋生物に与える影響は大きく、魚類やウミガメなどを含む約700種の生物がプラスチックごみによって傷ついたり命を奪われたりしています。
食糧危機や生態系に重大な問題を及ぼす気候変動問題
そのほとんどが石油から作られているプラスチックは、燃焼するとCO2が大気に放出され地球温暖化を通じて様々な気候変動問題を引き起こす可能性が示唆されています。
世界各地で異常気象が多発したり、お米などの涼しい気候に依存している食料の収穫が難しくなって食糧危機を招いたり、珊瑚礁の70~90%が消滅するなど生態系にも重大な影響を及ぼすことが懸念されています。
諸外国の輸入規制の強化で廃プラを輸出できない問題
世界の国々では、これまで大量のプラスチック廃棄物をアジア諸国へ輸出してきました。その結果、海洋プラスチックごみの82%がアジア諸国から発生していると言われています。
近年、中国が2017年にプラスチック廃棄物の輸入規制を始めたことを皮切りに、タイやベトナム、マレーシアなどが次々にプラスチック廃棄物の輸入を規制し、アジア諸国へ廃棄物を輸出することが困難となってきています。
そのため日本をはじめとするアジア諸国へ大量のプラスチックを輸出してきた国々は、国内での資源循環を急務で進めなければならない状況です。
一人あたりプラ容器の廃棄量が先進国ワースト2位の日本
日本では、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでよく見られるように容器や包装に使われるプラスチックが多い状況です。中でも一人当たりのワンウェイプラスチック(再利用できないもの)容器の廃棄量は世界でもアメリカに次いで2番目に多いとされています。
さらにプラスチックの循環利用の観点で見ると、日本のリサイクル率は2020年時点で86%ですが、サーマルリサイクル(焼却した熱をエネルギーとして利用するもの)以外のリサイクル率はそのうち約24%です。
欧米基準ではサーマルリサイクルはプラスチックリサイクルに含まれていません。
2013年時点のデータではサーマルリサイクル以外のリサイクル率がOECD加盟国(34カ国)の中で27位と、他国に比べプラスチックの循環利用率が低い状況となっています。
以上のような日本が抱える問題を解決すべく、プラスチックの循環利用に焦点を合わせたプラ新法が新たに制定されました。
03. プラ新法の基本原則と2035年までの目標
ここでは、「プラスチック資源循環戦略」(2019年に政府が策定したもの)の中で、プラ新法の核となっている基本原則と2035年までの目標について解説していきます。
基本原則:3R+Renewable
これまでプラスチックごみ問題に対する方針として、3R(Reduce, Reuse, Recycle)が掲げられてきました。
プラスチック資源循環戦略では、これにRenewable(再生可能な資源に切り替えること)を加えて3R+Renewableを基本原則としています。
プラスチック資源循環戦略・プラ新法におけるそれぞれの用語の具体的な違いを下記にまとめました。
プラ新法における3R+Renewableの定義
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ワンウェイの容器包装・製品を減らしたり減容化すること。
できる限り長期間、プラスチック製品を使用したり使用できるようにすること。
分別回収を通じて再利用をし、再利用出来ないものについては熱回収(サーマルリサイクル)をすること
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2035年までの目標
次に、プラスチック資源循環戦略が掲げる6つの目標(マイルストーン)について解説します。
以下は、政府が設定している目標と前述の3R+Renewableを照らし合わせたものです。
① 2030年までにワンウェイプラスチックを25%排出抑制
② 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに ③ 2030年までに容器・包装の6割をリユース・リサイクル ④ 2035年までに使用済プラスチックを100%リユースリサイクル等により、有効利用
⑤ 2030年までに再生利用を倍増 ⑥ 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入 |
それでは、前提についてのお話はここまでです。
実際に法律の中身を見ていきましょう。
04. 【業種別】それぞれの努力義務と罰則
プラ新法では、プラスチック使用製品を設計・製造、販売・提供する業者、またプラスチック使用製品産業廃棄物を排出する業者が法律の対象となっています。
プラ新法の内容は努力義務です。ですので、守られなければ即罰則ということはありませんが、業種業態によっては「著しく取組が不十分な場合に罰則もある」と環境省が明示しているものもありますので、そちらは「罰則あり」として紹介していきます。
まずは早見表です。適宜参照してください。
基本的に罰則といっても、取組が著しく不十分な場合に勧告・公表・命令等が行われ、従わない場合は罰金となります。
罰則の対象となるような事業規模が大きな企業にとっては公表されることでブランド毀損などのリスクになるのではないでしょうか。
ここまで全体感をお伝えしましたので、それではそれぞれの業種について見ていきましょう。
ここからは、「該当する業者」、「罰則のある努力義務」、「罰則のない努力義務」、「罰則」についてそれぞれご紹介していきます。
罰則はあるけど努力義務はある設計・製造業者
設計・製造業者には「プラスチック使用製品の設計段階における3R+Renewableの取組」が求められています。
結論からいうと、設計・製造業者には罰則はありません。ただし、後述する認定制度の「プラスチック使用製品の認定」には、ここで説明する努力義務に則しての設計が求められています。
詳しくみていきましょう。
該当する業者
プラスチック使用製品製造業者等(プラスチック使用製品の設計(試作・製造の前段階を含む)を行う業者)
罰則のある努力義務
- ナシ
努力義務
プラスチック使用製品の設計にあたり、プラスチック使用製品製造業者等が配慮・取組が必要なものとして「プラスチック使用製品設計指針」が挙げられています。
ポイントとしては下記にまとめてあります。
罰則
- ナシ
もっと知りたいときの参照先
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/seido
多量排出事業者のみ罰則のある販売・提供業者
販売・提供業者には、「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」が求められています。また、特定プラスチック使用製品多量提供事業者には努力義務があり、罰則もあります。詳しくみていきましょう。
該当する業者
販売、提供業者の中で本法律に該当する業者は、「特定プラスチック使用製品」を提供する業者のみです。また、特に「特定プラスチック使用製品多量排出事業者」には義務と罰則があります。
プラ新法においての販売・提供業者の区分
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特定プラスチック使用製品とは何か?
特定プラスチック使用製品とは、「商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供される」プラスチックのことです。簡単に例を挙げれば、コンビニエンスストアでお弁当を買った時にスプーンがもらえますよね。
こういったプラスチック製品の中で指定された12製品を「特定プラスチック使用製品」と呼びます。
下記表は対象製品と対象業種がまとめられています。
※図は環境省 「プラスチックに係る資源循環等に関する法律」の普及啓発ページ(https://plastic-circulation.env.go.jp/)より引用
対象商品ごとに業種が指定されています。
例えば、宿泊不可の日帰り温泉施設などで、カミソリやヘアブラシを無償提供する場合、特定プラスチック使用製品の提供事業者にはなりません。
罰則のある努力義務
特定プラスチック使用製品提供業者の中でも、多量提供事業者に該当する業者は罰則のある努力義務があります。
→罰則あり
→罰則なし
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特定プラスチック使用製品多量排出事業者は、「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」に取り組まねばなりません。
特定プラスチック製品の合理化について、「提供方法の工夫」と「提供する特定プラスチック使用製品の工夫」があります。具体的には下記です。
努力義務
上記特定プラスチック使用製品多量排出事業者の義務について、「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」は、特定プラスチック使用製品多量提供事業者以外の特定プラスチック使用製品提供業者にとって罰則のない努力義務となります。
→罰則あり
→罰則なし
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罰則
→取組が判断基準 に照らして著しく不十分と認められる場合に、勧告・公表・命令にも違反した場合には、50万円以下の罰金
→罰則なし
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排出量によって対応が異なる排出事業者
該当する業者
プラスチック使用製品産業廃棄物等を排出している排出事業者が該当します。排出事業者とは廃棄物処理法の用語で、業種を問わず廃棄物を排出する業者のことです。
排出事業者には、ゴミの排出場所や形状・性質に応じて適正な処理をする責任がありますが、プラ新法では更にプラスチック使用製品産業廃棄物等に絞って「排出の抑制と再資源化等」の取組を求めています。
プラスチック使用製品産業廃棄物等とは? |
プラスチック使用製品産業廃棄物等とは、下記2種類のことを言います。
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産業廃棄物とは、事業活動によって排出されるゴミのことです。
また、産業廃棄物以外のゴミは一般廃棄物に分類されます。
廃棄物処理法の中では産業廃棄物の該当性について業種別に定めているものもありますが、事業活動によって排出された廃プラスチックは全て産業廃棄物になります。
この中でも、プラスチックを使用した製品が廃棄物になったものを「プラスチック使用製品産業廃棄物」と言います。(オフィスであっても事業活動によって生じるボールペンやクリアファイルもプラスチック使用製品産業廃棄物に該当)
この他、プラスチック副産物とは、例えば製造業においてプラスチック製品の端材などはプラスチック副産物となるでしょう。
排出事業者の区分
プラ新法では、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量と業種や会社の規模に応じて実質3つの区分に分けられます。
プラ新法においての排出事業者の区分
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※上記はプラ新法や環境省が提示している区分ではなく、筆者が分かりやすいように分類したものです。
次からの「義務」「努力義務」「罰則」については、上記区分ごとに説明をします。
先に言ってしまうと、多量排出事業者のみ「罰則」があります。
罰則のある努力義務
プラスチック使用製品産業廃棄物等排出事業者のうち、多量排出事業者については、罰則のある努力義務があります。
→努力義務なし
→努力義務あり
→努力義務なし |
多量排出事業者は、下記8つの「排出の抑制・再資源化等に関する判断基準省令」について、取組をしなければなりません。
(引用:https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/haishutsu)
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特に、「2. 目標の設定」「3. 情報の公表」については留意する必要があります。
下記のように、プラスチック使用製品産業廃棄物等多量排出事業者は排出の抑制や再資源化等に関する目標を定め、前年度の排出量とともにインターネット等で公表することが求められています。
多量排出事業者は、排出の抑制及び再資源化等に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うこと。
多量排出事業者は、毎年度、前年度の排出量及び目標の達成状況に関する情報をインターネット等で公表するよう努めること。 排出事業者(多量排出事業者を除く。)は、毎年度、前年度の排出量と、排出の抑制及び再資源化等の状況に関する情報をインターネット等で公表するよう努めること。 (引用:https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/haishutsu)
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※各項目について、詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてください。
ただし、「努めること」と書いてあるように、これが出来なければ即注意勧告を受けるということではないとは思いますが、諸外国の動きを見てもリサイクルに係る法律は年々厳しくなっていくことが予想されますので、多量排出事業者であれば今のうちに対応しておくことをおすすめいたします。
努力義務
→努力義務なし
→努力義務あり
→努力義務なし |
多量排出事業者以外のプラスチック使用製品排出事業者については、目標の設定や情報の公表について努力義務はありませんが、下記の項目が努力義務として設定されています。
(引用:https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/haishutsu)
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※各項目について、詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてください。
罰則
→罰則なし
→勧告・公表・命令にも違反した場合には、50万円以下の罰金
→罰則なし
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05. 新設された認定制度は4つ
プラ新法で新設された認定制度は、大きく4つあります。
- 再商品化計画の認定
- 自主回収・再資源化事業計画の認定
- 再資源化事業計画の認定
- プラスチック使用製品の認定
認定を受けることで、市区町村向けには現状の分別収集の実態から柔軟に再商品化計画を組むことができたり、
プラスチック使用製品廃棄物を自主回収・再商品化する業者、再資源化に取り組む業者には廃棄物処理法上の業許可が不要となることで広域に渡り事業が展開できるようになったりといったメリットがあります。
それぞれ見ていきましょう。
市区町村が対象の「再商品化計画の認定」
この制度はプラ新法において、市区町村が分別・収集したプラスチック使用製品廃棄物の再商品化する仕組みを認定するものです。
市区町村が収集したプラスチック使用製品廃棄物は、以下の2通りの方法によって再商品化が求められます。
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このうち2.で説明されている認定制度が「再商品化計画の認定」になります。
認定にあたっては、市区町村からの再商品化計画作成 & 申請が必須となるため、一般企業の方が関係するケースは少ないかもしれません。
対象の業者
主に市区町村。計画の作成・実行にあたっては、再商品化事業者(市区町村からの委託を受けて分別・収集・運搬・処分等を行う者)も関わる可能性があります。
認定制度の概要
単独の市町村または複数の市区町村で共同して再商品化計画を作成し、主務大臣(経済産業大臣及び環境大臣)が認定することで選別保管等の中間処理を省略するなど、効率的な再商品化を図ることができる制度。
再商品化計画の認定においては、下記3パターンのいずれも対象となります。
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また、再商品化実施者(市区町村から委託を受け、分別収集物の再商品化を行う業者)は、再商品化計画に基づく事業について廃棄物処理法上の業許可がなくとも、認定際商品化計画に基づく再商品化に必要な行為を実施することができます。ただし、廃棄物処理法上の施設設置許可を要する廃棄物処理施設については、都道府県知事等の許可をとる必要があります。
認定を受けるメリット
市区町村によって実態は様々ですので一概にメリットといっても難しいですが、
市区町村に処理の責任がある一般廃棄物を、排出状況や回収方法の実態に合わせて再商品化を進めることが出来ると言うのがメリットでしょう。
これまで容器包装リサイクル法によってプラスチック容器包装廃棄物の分別収集・再商品化が進められてきましたが、
プラスチック使用製品廃棄物は燃えるゴミとして処理されてきました。新法ではプラスチック使用製品廃棄物についても、市区町村は分別の基準を策定し、適正に分別してもらえるように市民に周知するよう努めなければならないとしています。
分別・収集したプラスチック使用製品廃棄物は容リ法ルートで再商品化させることができますが、元々容器包装リサイクル法に基づいて分別・収集を行なっていない市区町村にはハードルが高いことがあるでしょう。
その際には、再商品化計画の認定を受けることにより、実態に合わせた分別・収集と再商品化が出来るという点が魅力です。
もっと詳しく知りたい場合の参考サイト
- 環境省 「プラスチックに係る資源循環等に関する法律」の普及啓発ページ 再商品化計画の認定申請
https://plastic-circulation.env.go.jp/nintei/saisyohin
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る再商品化計画の認定申請の手続き(PDF)
プラスチック使用製品の「自主回収・再資源化事業計画の認定」
この制度はプラ新法において、プラスチック使用製品を製造・販売・提供する事業者が自主回収・再資源化を実施しやすくするための制度です。詳しくみていきましょう。
対象の業者
プラスチック使用製品を自ら製造・販売・提供する事業者の中で、使用済プラスチック使用製品を自主回収・再資源化事業を行おうとする者。複数の事業者で共同して計画の認定申請を行うことも可能。
※使用済プラスチック使用製品の収集、運搬または処分の全部または一部を他人に委託しても可。
認定制度の概要
プラスチック使用製品を自ら製造・販売・提供する事業者が、「自主回収・再資源化計画」を作成し、主務大臣の認定を受けることで、自主回収・再資源化事業計画に基づく事業について、廃棄物処理法に基づく業の許可が不要になります。
ただし、認定を受けた場合であっても、廃棄物処理法に基づく処理基準の遵守等の各規定は通常の許可業者と同様に適用されます。
また、通常産業廃棄物を処理する場合には排出事業者はマニフェストを処理業者へ交付する義務がありますが、この制度下においても使用済プラスチック使用製品産業廃棄物についてマニフェスト交付の義務があります。
使用済プラスチック使用製品とは?
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また、他社が製造・販売・提供したプラスチック使用製品であっても、自主回収を行うプラスチック使用製品と合わせて再資源化を行うことが効率的なプラスチック使用製品であれば、認定の対象となります。
消費者から回収する使用済プラスチック使用製品のみならず、事業活動によって生じた会社から出るような使用済プラスチック使用製品を回収する場合も認定の対象です。
ただし、他のリサイクル法で定められている下記のプラスチック使用製品は、認定の対象ではありません。
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認定を受けるメリット
認定を受けるメリットとしては、地方公共団体ごとに廃棄物処理業の許可を受けなくても良くなることです。
通常、廃棄物処理施設を設置する場合には該当地域を管轄する都道府県知事等から処分業の許可を受けなければなりません。また、収集運搬においては積み下ろしをする場所と積み替え保管する場所のそれぞれについて該当地域を管轄する都道府県知事から収集運搬業の許可が必要です。
国の許可の元、これらを省略して自主回収・再商品化事業に取り組むことができます。
廃棄物処理業の許可は5年ごとに各地方公共団体へ更新許可を取らなければなりませんので広域で事業を行う場合にはかなりの手間を減らすことが出来ることに加え、地域の隔たりなく回収することができるといったメリットがあります。
もっと詳しく知りたい場合の参考サイト
- 環境省 「プラスチックに係る資源循環等に関する法律」の普及啓発ページ 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/recycle
- 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画 認定申請の手引き」(PDF)
企業から排出されたプラをリサイクルする「再資源化事業計画の認定」
こちらの認定制度は、排出事業者等が廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行うことが出来る認定制度です。
「自主回収・再資源化事業計画の認定」との違いは、使用済プラスチック製品を回収して再生事業を行う業者ではなく、自社で排出されたプラスチック使用製品産業廃棄物等を再資源化する業者や複数の事業者の委託を受けて再資源化事業者が認定の対象となっている点です。詳しく見ていきましょう。
対象の業者
下記2種類の事業者が認定の対象となります。
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なお、1.の業者が認定を受けることを「一号認定」と呼び、2.の業者が認定を受けることを「二号認定」と呼びます。
プラスチック使用製品産業廃棄物等とは?
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プラスチック使用製品産業廃棄物等とは、下記2種類のことを言います。
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産業廃棄物とは、事業活動によって排出されるゴミのことです。
また、産業廃棄物以外のゴミは一般廃棄物に分類されます。
廃棄物処理法の中では、産業廃棄物の該当性について業種別に定めているものもありますが、
事業活動によって排出された廃プラスチックは全て産業廃棄物になります。
この中でも、プラスチックを使用した製品が廃棄物になったものを「プラスチック使用製品産業廃棄物」と言います。(オフィスであっても事業活動によって生じるボールペンやクリアファイルもプラスチック使用製品産業廃棄物に該当)
この他、プラスチック副産物とは、この法律において「製品の製造、加工、修理又は販売その他の事業に伴い副次的に得られるプラスチックであって、放射性物質によって汚染されていないもの」と規定されています。例えば、製造においてプラスチック製品の端材などはプラスチック副産物になるでしょう。
ただし、他のリサイクル法で規定される下記のプラスチック使用製品が廃棄物となったものは、認定の対象から除外されています。
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認定制度の概要
上記1.や2.の業者が、「再資源化事業計画」を作成し主務大臣の認定を受けることで、再資源化事業計画に基づく事業について、廃棄物処理法に基づく業の許可が不要になります。ただし、認定を受けた場合においても、廃棄物処理法に基づく処理基準の遵守や、マニフェスト交付の義務があります。
認定を受けるメリット
認定を受けるメリットとしては、地方公共団体ごとに廃棄物処理業の許可を受けなくても良くなることです。
通常、廃棄物処理施設を設置する場合には該当地域を管轄する都道府県知事等から処分業の許可を受けなければなりません。
また、収集運搬においては積み下ろしをする場所と積み替え保管する場所のそれぞれについて該当地域を管轄する都道府県知事から収集運搬業の許可が必要です。国の許可の元、これらを省略して再資源化事業に取り組むことができます。
廃棄物処理業の許可は5年ごとに各地方公共団体へ更新許可を取らなければなりませんので、例えば一号認定の場合なら複数の事業所で排出されたプラスチック使用製品産業廃棄物等を回収して再資源化事業を行ったり、二号認定の場合には地域の隔たりなく排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物を回収できるといったメリットがあります。
もっと詳しく知りたい場合の参考サイト
- 環境省 「プラスチックに係る資源循環等に関する法律」の普及啓発ページ 排出事業者等による再資源化事業計画の認定申請
https://plastic-circulation.env.go.jp/nintei/saishigen
- 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る 排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き」(PDF)
準備中・受付開始前「プラスチック使用製品の認定」
この認定制度は現在準備中とのことで、申請受付が開始されておりません。(2024年10月2日現在)
参考:https://www.jwrf.or.jp/plastics/application.html
現在公表されている情報だけで下記まとめましたので、参考にしてください
対象の業者
プラスチック使用製品を取り扱う製造・販売業者
認定制度の概要
主務大臣がプラスチック使用製品設計指針を基準に同種の製品と比較をして、特に優れたプラスチック使用製品の設計を認定する制度です。
認定のための調査は公益財団法人廃棄物・3R研究財団へ委託されています。
申請の流れとしては、
①国が指定した指定調査機関(公益財団法人廃棄物・3R研究財団)へ技術的な調査を依頼
②調査結果をもとに国が設計認定を行う
のような流れになっています。
前述の通り、2023年4月7日現在はまだ準備中となっております。
認定を受けるメリット
主務大臣に認定を受けた「認定プラスチック使用製品」はグリーン購入法上の配慮や製造の用に供する施設・設備の支援を受けることになります。
グリーン購入法は環境負荷の低減に資する物品やサービスについて国等の公的部門における調達の推進をしているため、例えば自社が製造している商品を地方公共団体や国の各機関が率先して購入してくれるなどのメリットがあります。
製品によっては相性が良いものもあるでしょう。
もっと詳しく知りたい場合の参考サイト
- 環境省 「プラスチックに係る資源循環等に関する法律」の普及啓発ページ プラスチック使用製品設計指針と認定制度
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/seido
- 公益財団法人廃棄物・3R研究財団HP
https://www.jwrf.or.jp/plastics/index.html
06. 自治体や企業の取り組み次第で消費者に関係も
プラ新法は消費者にも関係のある法律です。
関係があると言っても、やや間接的な関係かもしれません。
例えば、今回の法律によってお住まいの市区町村によってはゴミの分別ルールが変わった場合には、分別ルールに従ったゴミの出し方をしなくてはなりません。
また、購入したプラスチック製品に処分方法がこれまでよりも詳細に記載されていることもあるでしょう。
お住まいの市区町村のゴミ出しルールの他に企業独自の回収方法がある場合には、なるべくそちらの内容に沿って処分をしましょう。
そして、これは心当たりのある方も多いかもしれませんが、レジ袋有料化やコンビニエンスストアなどで無償で提供されるスプーンやストローなどが木製や紙製に置き換えられることも今後さらに増える可能性があります。
07. まとめ
プラ新法は、「3R+Renewable」というシンプルな目標を掲げつつ、現代の複雑な各業種の業態に合わせて整備されているため分かりにくい部分も多かったかもしれません。
しかし、このように業種ごとに紐解いてみるとご自身のいる業界で何をしなければならないのかが理解できたのではないでしょうか。
プラスチック廃棄物に関わる世界各国の規制も今後さらに厳しくなることが予想されます。ここで挙げた努力義務も将来的には義務となり、罰則も強化されるかもしれません。
今後の事業計画にも早いうちから対策を盛り込むことをおすすめいたします。
08. プラ新法についてよくある質問
再商品化に適しているプラスチックとはどんなもの?
プラスチックにはさまざまな種類があるので再商品化可能なプラスチックについて一概には語れませんが、PEやPP、PVC、ABSなどの熱可逆性プラスチックが該当することが多いでしょう。
熱可逆性プラスチックは、一定以上の熱を与えれば液体化します。
液体化したものを新しい形として成形すれば再商品化などが可能になるというわけです。
(反対にPFやPUR等の熱硬化性プラスチックは、熱を与えても液体化しませんので再利用することは難しくなります。)
とは言え全く元通りの性質になるわけではないので、再商品化の際には専門的な知識が必要となります。
また、プラスチックには様々な添加剤が混ぜられている場合も多く、一般的に再利用されている種類だからと言って全てが該当するわけではありません。
バイオマスプラスチックはリサイクルできるの?捨てる時はどうしたらいいの?
バイオマスプラスチックとっても種類はさまざまです。
一般ゴミは自治体によって分別ルールが違いますので、お住まいの地域のルールを確認してください。
事業活動から排出されるバイオマスプラスチックについては、廃棄物処理法上の区分は「廃プラスチック類」となります。
ただし、プラスチックの種類、形状、状態によっては再資源化・再商品化可能なものもあります。プラ新法の観点から、なるべく再資源化・再商品化できる方法を探しましょう。
再資源化・再商品化できないものはサーマルリサイクル、それも不可の場合には埋め立てといった選択が好ましいです。
埼玉プラスチック買取センターでも、埼玉県内の排出事業者様のご相談を随時受け付けています。
埼玉で大量の廃プラを処理したい方へ
一概にプラ新法に則った処理をしている産廃業者を見分けることは難しいですが、見積もり時に破砕・埋立処分を勧めてくる場合には相見積もりをした方がいいでしょう。
廃棄物の性状や汚れの状態でどうしても破砕・埋立しか処分の方法がない時もありますが、プラ新法では、まず再生利用を検討し、再生利用が出来ないものはなるべくサーマルリサイクルをするように努力義務を規定しています。
また、適法処理の観点では、不法投棄をする産廃業者に当たらないためにも、なるべく外部認証を受けている産廃業者を選ぶと良いと思います。排出事業者には排出事業者責任といって廃棄物を適正に処理する責任があります。委託している産廃業者で不法投棄をしている場合には、排出事業者にも責任が追求される場合もありますので産廃業者を選ぶ際は適法処理をしてくれる業者を必ず選んで下さい。
埼玉プラスチック買取センターでは、再生利用を中心とした産廃処理を行っております。
エコアクション21などの外部認証も受けております。
廃棄証明書やリサイクル証明書にも対応しておりますので、埼玉県内でお困りの排出事業者様はご相談くださいませ。